とらドラ6!

2018/01/27

竹宮ゆゆこ、電撃文庫。もしくは「真冬のオリオン」 異世界ない、異能もない、死人もバトルも何にもない、とDJ-IKUZOなら良いライムを刻んでくれるであろう地味なラノベの六巻目。なのだが、相も変わらずありえんくらい小説が巧い。小説が巧いので、地面に足を徹底的につけたキャラクタと世界の構成が全開でブン周り、圧倒的に共感力を積み上げてくるわけです。
登場人物たちは高校生の青春を恋愛とか将来とか別離とか、まぁそんな感じの最近描写されなくなったサムシングに悩んで悩んで暴走して心から赤い血をどくどく流すわけです。肉の血は(まぁ流れるけど)あんま描かれず、心の傷とそれを直してかさぶた剥がれる部分を徹底的に掘るつくり。下手すると重たくて読めたモンじゃなくなるわけですが、竹宮先生天性の文章勘というか、相当に練り上げて造ったラノベ的軽さでキッチリ読ませる。
結局ラノベは小説で、小説は文字である以上、いかにも字を組んでいくかという部分で根っこは決まる。そういう基礎を、つくづく再確認させてくれる小説です。巧い。ラノベの枠の中に自分のやりたいことを押し込める意味でも巧いし、自分のやりたいことを読者に共感させる巧さもある。とにかく、竹宮先生が「高校生が青春に悩むのはいいじゃないか!」と胸を張っている姿に、「そすね」と頷きながらもりもり読む楽しさ。そのプリミティブな小説の力を再確認されてくれた六巻目でした。おもすれー。